「保護犬って吠えやすいんじゃないか」
迎える前、そう思っていました。トラウマがある子、人慣れしていない子、ストレスを抱えた子——不安が吠えにつながるんじゃないかと。
でも実際に迎えてみて、いっちゃん(雑種・21kg)はほぼ吠えません。
迎えてから今まで、本格的に吠えたのは他の犬にちょっかいをかけられたときくらいです。チャイムでも、来客でも、留守番中も、ほぼ無音。
犬ってこんなに静かなんだ・・・
「保護犬=よく吠える」は必ずしも正しくありません。
この記事では、いっちゃんがほぼ吠えない理由の考察と、保護犬が吠える主な原因・パターン別の対処法を書きます。「うちの保護犬がよく吠えて困っている」という方に特に読んでほしい内容です。
保護犬はなぜ吠えるのか【原因を知ることが先決】
吠えの対処法を考える前に、「なぜ吠えているか」を理解することが大事です。
吠えには必ず理由があります。「うるさいから」「わがままだから」ではありません。吠えは犬にとってのコミュニケーション手段です。
保護犬に多い吠えの原因は主に5つです。
① 恐怖・不安からの吠え
保護犬に最も多いパターンです。知らない人・音・環境に対して「怖い、来ないで」というサインとして吠えます。
チャイムの音・来客・宅配便など、「突然何かが起きた」ときに吠える子はこのパターンが多いです。
② 警戒吠え
「何か変なものがある」「異常を知らせなければ」という本能的な吠えです。窓の外を通る人・車・他の動物に反応することが多い。
③ 要求吠え
「ご飯がほしい」「散歩に行きたい」「構ってほしい」という要求を伝えるための吠えです。保護犬に慣れてきた頃——つまり信頼関係ができてから出てくることが多い。
ある意味「慣れた証拠」でもありますが、対処しないとエスカレートします。
④ 他の犬への反応(犬同士のコミュニケーション)
いっちゃんが吠えるのはほぼこれだけです。
他の犬にちょっかいをかけられたとき、「やめて」「近づくな」というサインとして吠えます。これは問題行動というより正常なコミュニケーションです。
⑤ 分離不安からの吠え
飼い主がいなくなると吠え続けるパターンです。「見捨てられた」という恐怖から来ることが多く、保護犬に見られることがあります。留守番中に吠えている場合はこのパターンを疑ってください。
いっちゃんがほぼ吠えない理由を考えてみた
正直、最初は意外でした。「もっと吠えるかも」と思っていたので。
いっちゃんがほぼ吠えない理由として考えられることをまとめます。
① 性格的に穏やかな子だった
いっちゃんはもともと怖がりでおとなしい性格で、吠えるより「固まる」「隠れる」という反応をする子でした。
② 恐怖を吠えで表現しなかった
チャイムや来客にびっくりしてクレートに駆け込むことはありましたが、吠えませんでした。怖いときの反応が「逃げる」だったんです。
③ 徐々に環境に慣れた
迎えてから数ヶ月で家の中の音・生活リズムに慣れてきました。慣れれば吠える必要がなくなります。
④ 要求を吠えで伝える習慣がなかった
これが一番大きいです。預かりボランティアさんのもとで、吠えで要求する癖がついていなかったのだと思います。ボランティアさんの家に伺った時には数頭の犬がいましたが、みんな無駄吠えしていなかったです。今は朝に「ご飯まだ?」と手を舐めて起こしてきますが、吠えません。
パターン別の対処法
恐怖・警戒からの吠えへの対処
① 吠えても反応しない
吠えたときに「ダメ!」と叱ったり、なだめようと声をかけたりすると、「吠えると飼い主が反応する」という学習になります。吠えている間は完全に無視してください。
② 吠えが止まった瞬間を褒める
吠えが止まった瞬間に「いい子」と声をかけておやつを出します。「吠えをやめると良いことがある」という経験を積み重ねます。
③ 怖いものへの慣らしを少しずつ進める
チャイムの音が怖い子なら、チャイムの音を小さい音量で聞かせながらおやつを出す練習を繰り返す。「チャイム=おやつが出る」に変換していく方法です。時間はかかりますが効果があります。
④ 安心できる場所(クレート)を作る
怖いときに逃げ込める場所があると、吠えではなく「逃げる」という行動を選びやすくなります。いっちゃんはクレートがあったことで、怖いときは吠えずにクレートに入る習慣ができました。
→ クレートの選び方:保護犬に最適なクレートの選び方
要求吠えへの対処
① 吠えているときは要求に応えない
吠えたらご飯を出す、吠えたら散歩に行く——これをやると「吠えれば要求が通る」という学習になります。吠えている間は完全に無視して、静かになってから要求に応えてください。
② 要求を吠え以外の方法で伝えさせる
おすわり・待てなど、吠え以外の行動で要求を伝える練習をします。「おすわりしたらご飯が出る」という経験を積み重ねると、吠えの代わりにおすわりで待つようになります。
他の犬への吠えへの対処
いっちゃんが唯一吠えるパターンです。
他の犬にちょっかいをかけられたときの吠えは、基本的に正当なコミュニケーションです。「やめてほしい」という意思表示なので、無理に止めようとしなくていい場合があります。
ただ過剰に吠え続ける場合は:
① 距離を取る
他の犬と距離を置いて、吠える前に視線を切らせます。「飼い主を見る」練習をしておくと、犬が視野に入っても飼い主に集中できるようになります。
② 相手の飼い主に状況を伝える
「うちの子が苦手なのでちょっと離れてもらえますか」と伝えることを躊躇わないでください。特に保護犬の初期は、他の犬との接触をコントロールすることが重要です。
③群のリーダーとして守る
ちょっかいをかけてくる犬と自分の犬の間に割って入ってでも守ってあげます。小型・中型犬であれば、すぐに抱き上げてください。
分離不安からの吠えへの対処
これが一番対処に時間がかかるパターンです。
① 短時間の留守番から慣らす
最初は5分、次に10分、30分と少しずつ留守番時間を伸ばします。「飼い主は必ず戻ってくる」という経験を積み重ねることが基本です。
② 出かける前の行動を変える
「鍵を取る→コートを着る→出かける」という一連の行動が「分離のサイン」になっている場合があります。出かけない日でも同じ行動をとることで、サインと分離の関係を薄める方法があります。
③ クレートを安心の場所にする
留守番中にクレートで過ごすことが安心できると、分離不安が軽減されやすいです。
④ 改善しない場合は専門家に相談
分離不安は独学での対処に限界があることがあります。ドッグトレーナーや動物行動専門の獣医師への相談を検討してください。
吠えに関係するグッズ
コング(知育玩具)
留守番中の暇つぶし・分離不安対策に効果的です。中にフードやおやつを詰めて渡すことで、留守番中に集中できるものができます。私も赤のコングを購入しました。
👉 【コングをCheck】
ロングリード(トレーニング用)
他の犬への反応トレーニングに使います。距離をコントロールしながら練習できます。
👉 【ロングリードをCheck】
よくある質問
- Q保護犬はよく吠えますか?
- A
個体差が大きいです。よく吠える子もいれば、いっちゃんのようにほぼ吠えない子もいます。「保護犬だから吠える」という前提は必ずしも正しくありません。
- Q吠えを完全にゼロにできますか?
- A
難しいです。吠えは犬の自然なコミュニケーション手段なので、完全にゼロを目指すよりも「過剰な吠えを減らす」という目標設定が現実的です。
- Q近所への迷惑が心配です
- A
分離不安からの吠えは特に心配です。外出前にペットカメラで留守番中の様子を確認することをおすすめします。実際に吠えているかどうかを把握した上で対処方法を考えられます。
- Q叱ると逆効果ですか?
- A
吠えを叱ることは基本的に逆効果になりやすいです。叱る声に反応してさらに興奮することがあります。吠えている間は無視して、止まったときに褒めるほうが効果的です。
- Q何ヶ月で改善しますか?
- A
原因・個体差・対処法によって大きく異なります。環境への慣れから来る吠えは、環境に慣れるにつれて自然と落ち着くことが多い。いっちゃんの場合、特に何もしなくても数ヶ月で安定しました。
まとめ
保護犬の無駄吠えで最も大切なことは、「なぜ吠えているか」を正確に理解することです。
原因がわからないまま「ダメ!」と叱っても解決しません。恐怖なのか、要求なのか、分離不安なのか。原因が違えば対処法も違います。
いっちゃんはほぼ吠えない子でした。でもこれは運が良かった部分もあります。吠えやすい子を迎えた場合でも、原因を理解して適切に対処すれば必ず改善できます。
焦らず、吠えの理由を探すところから始めてください。
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