「クレートって本当に必要?ケージじゃダメ?」 「ソフトとハード、保護犬にはどっちが向いてる?」 「サイズは何を基準に選べばいい?」
保護犬を迎えることが決まると、こういう疑問が次々と出てきます。ペットショップのスタッフに聞いても、保護犬ならではの事情は教えてもらえないことが多い。
私は保護犬のいっちゃんを迎えるとき、最初クレートを用意せずケージだけにしていました。結果、いっちゃんは初日ずっとケージの隅に張り付いて、ご飯も食べませんでした。翌日ハードクレートを購入して設置したら、自分から中に入って落ち着いたんです。
この経験から断言できます。保護犬にクレートは必需品です。
この記事では、保護犬を実際に迎えた経験をもとに、クレートの必要性から選び方・おすすめ商品・慣らし方まで全部まとめます。
そもそもなぜ保護犬にクレートが必要なのか
クレートの話をする前に、保護犬特有の事情を理解しておくことが大切です。
保護犬の多くは、これまでの環境が不安定でした。元野犬の子、多頭飼育崩壊から保護された子、ブリーダー放棄の子——それぞれのバックボーンは違いますが、共通しているのは「安心できる自分だけの場所を知らない」ということです。
新しい家に来たとき、その子の目に映るのはすべて未知の刺激です。においも、音も、空間の広さも。何もかもが初めてで、どこに隠れたらいいかもわからない。
そのときにクレートがあると、状況が変わります。
犬は本能的に、適度に囲われた狭い場所に安心感を覚えます。巣穴の感覚です。クレートはその代わりになります。「ここに入れば安全だ」と覚えてもらえれば、保護犬にとって家の中で唯一信頼できる場所になります。
ケージとの違いもここです。ケージは広くて開放的すぎて、保護犬には「安心できる場所」として機能しにくい。クレートの「ちょうど体が収まる囲われ感」が重要なんです。

ハードクレートとソフトクレート、保護犬にはどちらが向いているか
結論を先に言います。
保護犬には、ハードクレート(プラスチック製)をおすすめします。
理由は3つあります。
理由① 囲われている安心感が強い
ハードクレートはプラスチックで四方が囲われているため、外の刺激が入りにくく、犬が「ここは安全」と感じやすい構造です。
ソフトクレートはメッシュ素材で通気性が良い一方、外の気配がより伝わりやすい。慣れた犬には問題ありませんが、まだ環境に慣れていない保護犬には刺激が多すぎる場合があります。
理由② 丸洗いできる
保護犬を迎えた最初の数日〜数週間は、クレート内でのトイレ失敗が起きることがあります。ハードクレートはプラスチック製なので、汚れてもそのまま水洗いができます。
ソフトクレートは洗えるものもありますが、完全に乾かすまでに時間がかかる。においが残りやすいのも難点です。
理由③ 耐久性が高い
ストレスを感じているとき、犬は噛む行動が増えます。ソフトクレートは噛んで壊してしまうリスクがありますが、ハードクレートなら問題ありません。
ただし、ハードクレートにも弱点があります。
- 重くてかさばる(折りたためない)
- 値段がやや高め
旅行や外出先での一時使用が多い場合は、慣れてからソフトクレートを追加するという使い分けが実用的です。いっちゃんも今は室内用にハード、お出かけ用にソフトを使い分けています。
クレートのサイズの選び方
サイズ選びで失敗する人が多いので、ここはしっかり説明します。
基本の考え方
クレートの適正サイズは「犬が立ち上がって、回転できる広さ」が基準です。
具体的には:
- 高さ:犬が立ったときの体高+約5cm
- 奥行き:伏せた状態の鼻先から尻尾の付け根まで+約5〜10cm
- 幅:犬の肩幅の1.5〜2倍程度
大きすぎるのはNGです。広すぎると「安心できる巣穴」にならず、クレートの端でトイレをしてしまうこともあります。
サイズ目安(犬種別)
| 犬のサイズ | 体重目安 | おすすめクレートサイズ |
|---|---|---|
| 小型犬 | 〜5kg | S(幅46×奥60×高43cm程度) |
| 小〜中型犬 | 5〜10kg | M(幅51×奥69×高49cm程度) |
| 中型犬 | 10〜20kg | L(幅56×奥84×高60cm程度) |
| 大型犬 | 20〜30kg | LL(幅64×奥96×高71cm程度) |
| 超大型犬 | 30kg〜 | 3L以上 |
保護犬の場合の注意点: 保護施設では正確な体重を把握できていないことがあります。迎える前に「だいたいの体重と体高」を団体スタッフに確認しておくと安心です。

成犬と子犬でサイズは変わる?
成犬を迎える場合は今の体型に合わせてOKです。
子犬や若い犬を迎える場合は、成長後のサイズを想定して選ぶか、仕切り板(スペーサー)付きのクレートを選ぶと経済的です。
おすすめのハードクレート
1. バリケンネル(ペットメイト)
保護団体や動物病院で最も多く見かけるスタンダードモデルです。プロが選ぶ理由があります。
特徴:
- 世界中の動物病院・保護施設で使用されている信頼性
- IATA(国際航空輸送協会)基準クリア → 飛行機にも載せられる
- 上下分割式で丸洗い簡単
- 別売りの純正マット・スノコが充実
- 長く使えるコスパの高さ
気になる点:
- 重量がやや重い
- デザインはシンプル(おしゃれさはない)
いっちゃんも2代目がバリケンネルです。1代目は別のハードクレートを使いましたが、洗いやすさと耐久性でバリケンネルが圧倒的でした。
👉 【バリケンネルを見る】
2. ペットケンネル ファーストクラス(OFT)
デザイン性と機能性を両立した国内人気モデルです。
特徴:
- 天井部分がクリアになっているタイプあり(上から確認できる)
- IATA基準クリア
- カラーバリエーションが豊富
- 扉のロック機構がしっかりしている
気になる点:
- バリケンネルより価格が高め
上から犬の様子を確認できるクリアタイプは、保護犬の体調管理に便利です。
👉 【ファーストクラスを見る】
3. アイリスオーヤマ エアトラベルキャリー
コストを抑えたい方への入門機です。
特徴:
- 国内ブランドで入手しやすい
- 価格がリーズナブル
- 扉を外してハウスとして使える
気になる点:
- 大型犬向けサイズの展開が少ない
- 長期使用での耐久性はバリケンより劣る場合がある
最初の1頭目でとりあえず試したいという方には選びやすい選択肢です。
👉 【アイリスオーヤマクレートを見る】
ソフトクレートは慣れてから使う
ハードクレートに慣れてきたら、お出かけ用・旅行用にソフトクレートを追加するのがおすすめです。
ソフトクレートのメリット:
- 軽くて持ち運びしやすい
- 折りたためてコンパクトに収納
- 車内での使用に便利
ソフトクレートに向いているシーン:
- 旅行先のホテルでのハウス
- ドッグランや公園での休憩スペース
- 長距離ドライブ
注意点: 環境に慣れていない段階の保護犬にソフトクレートだけを用意するのは避けてください。噛んで破壊したり、外の刺激が多くて落ち着けなかったりします。
クレートトレーニングの方法【保護犬版】
クレートを置いただけでは使ってくれない犬もいます。でも焦らなくて大丈夫です。順番通りにやれば、ほぼすべての犬がクレートを「自分の安全な場所」として使えるようになります。
いっちゃんは初日から自分で入ってくれましたが、怖がりな子ほど時間がかかることもあります。1〜2週間かかっても普通のことです。
ステップ1:クレートを「そこにあるもの」として認識させる(1〜3日)
まず、クレートを部屋の隅に置いておくだけです。扉は外すか全開にしておいてください。犬が自分から近づいて嗅ぐのを待ちます。
このとき絶対にやってはいけないのは、犬をクレートに「入れようとする」こと。最初は存在を知らせるだけです。
ステップ2:クレートの周辺におやつを置く(2〜5日)
クレートの入り口付近、そして中に少しずつおやつを置きます。犬が自分から入って食べるのを待ちます。
入ったら「いい子」と穏やかに声をかけ、無理に扉を閉めないでください。「入ると良いことがある」という経験を積ませることが目的です。
ステップ3:食事をクレートの中で与える(3〜7日)
クレートに慣れてきたら、ご飯の時間にフードボウルをクレートの奥に置きます。最初は入り口付近から始めて、少しずつ奥にしていきます。
食事中に扉をそっと閉め、食べ終わったらすぐ開けてあげます。「閉まっても大丈夫」という経験を少しずつ積ませます。
ステップ4:扉を閉めた状態で過ごす時間を伸ばす(1〜2週間)
最初は数分、次に10分、30分と少しずつ時間を延ばします。この間はクレートのそばにいてあげてください。犬が落ち着いていればOK、鳴いたり引っかいたりしているうちは時間を短くします。
鳴いているときに開けてしまうと「鳴けば出られる」と学習してしまいます。落ち着いてから開けることが重要です。
ステップ5:お留守番・就寝時の使用へ
ここまでできれば、クレートは犬にとって「自分の安心できる家」になっています。お留守番中や就寝時の使用へ移行できます。
クレートに関するよくある質問
クレートはずっと扉を閉めておくべき?
慣れた後は扉を開けっぱなしにして、犬が自由に出入りできる状態にしてあげてください。「閉じ込める場所」ではなく「自分から入りたい場所」になるのが理想です。いっちゃんは今でも自分から入ってお昼寝しています。
クレートの中に何を入れればいい?
最低限は薄いマットかタオル1枚。団体からもらった毛布やタオルがあれば、施設のにおいが残っているものをそのまま入れてあげると安心感につながります。おもちゃや水は慣れてから追加します。
夜はクレートで寝かせていいの?
問題ありません。むしろ「夜はクレートで寝る」というルーティンができると、犬が落ち着きやすくなります。最初の数日は鳴くこともありますが、安全は確保されているので見守ってあげてください。
クレートが嫌いな犬でも慣れられる?
時間はかかりますが、適切なトレーニングをすれば必ず慣れます。保護犬は特に、過去の経験から「閉じ込められた」という恐怖を持っている子もいます。焦らず、1日1センチずつ前進するつもりで進めてください。不安な場合はドッグトレーナーに相談するのもおすすめです。
飛行機に乗せる予定があるけどどのクレートを選べばいい?
IATA(国際航空輸送協会)基準を満たしたハードクレートが必須です。バリケンネルやペットケンネルファーストクラスがこの基準をクリアしています。ただし、航空会社によってサイズや規定が異なるため、利用予定の航空会社に事前確認してください。
まとめ:保護犬のクレート選びで押さえる3つのポイント
- まずハードクレートから始める → 保護犬に必要な「安心できる囲われ感」はハードが圧倒的に向いている
- サイズは「立って回転できる」を基準に → 大きすぎず小さすぎず。迎える前に体重・体高を確認しておく
- 焦ってトレーニングしない → クレートは閉じ込める道具ではなく「自分の家」。犬のペースで慣らすことが長期的に絶対に正解
クレートは一度買えば何年も使える投資です。最初にしっかりしたものを選んでおくと、移動・災害・入院など様々な場面で助けてくれます。
次に読むならこちら

